2013年1月7日星期一

「私設私書箱」が振り込め詐欺の新たな温床に 2億円超を不正送金

「私設私書箱」が振り込め詐欺の新たな温床に 2億円超を不正送金
「道具屋」-。犯罪に使われる銀行口座や携帯電話などの小道具を調達する業者を、捜査関係者はこう呼ぶ。荷物の受け取りを代行する「私設私書箱」業者もその一つで、近年、振り込め詐欺事件に悪用されるケースが目立っている。本人確認を十分に行わずに私書箱サービスを提供したとして、昨年11月に警視庁組織犯罪対策総務課に犯罪収益移転防止法違反容疑で逮捕された東京都杉並区の男(29)が運営する私書箱には、詐欺グループによって2億円を超えるだまし取ったカネが送られていた。あの手この手を繰り出す詐欺グループと警察当局とのいたちごっこは絶えない。(原川真太郎、太田明広)

■本人確認せず…数千円で「住所」取得

 《個人 初期費用¥2500~》

 《法人 初期費用¥5000~》

 捜査関係者によると、男が運営する私設私書箱のホームページにはこんなうたい文句が並ぶ。わずか数千円で居住地とは異なるもう一つの「住所」を手に入れることができるのだ。

 男は平成21年7月ごろ、新宿区内のビルの一室を事務所として私設私書箱を設置。荷物の受け取り代行サービスなどを始めた。そこに詐取金が送られているのが確認されたのは22年ごろ。大阪府警などによる振り込め詐欺事件の捜査の過程で発覚した。

 私書箱業者は、犯罪に悪用される可能性が高い他人名義での契約を回避するため、顧客との契約時に免許証などで本人確認を行うのと同時に、契約関係書類を顧客に送付することが犯罪収益移転防止法で義務づけられている。

 男が本人確認を怠っていたことが判明したため、まずは経済産業省が23年9月、男に本人確認を徹底するよう是正命令を出した。

 しかし、その後も別の架空請求詐欺事件で、男の私書箱が繰り返し使われていることが判明。経産省が事務所に立ち入り検査しようとしても男が拒否するなどしたため、警視庁に相談が寄せられたのだ。

 犯罪収益移転防止法の是正命令に違反し、昨年2月に本人確認を十分に行わずに都内の50代の男性と利用契約を締結し、サービスを提供した疑いが強まったとして、警視庁組対総務課は同法違反容疑で男を逮捕。男は略式起訴され、東京簡裁から罰金30万円の略式命令を受けた。

■甘い本人確認…詐欺グループの「お得意様」

 捜査関係者によると、是正命令違反による私設私書箱業者の摘発は全国初だという。結果的に罰金刑になったが、見過ごすわけにはいかなかった。

 その後の捜査で、21年11月以降、34都道府県で起きた約70件の架空請求詐欺やオレオレ詐欺事件などの詐取金の送付先に男の私書箱が指定され、実際に約2億4600万円が送られているのが確認された。詐取金はさらに別の私書箱などに転送されたとみられる。

 詐欺グループにとっては「お得意様」だったといえる男の私書箱。その理由は本人確認の甘さにある。

 男は電話で申し込みを受け付け、顧客の住所、氏名、生年月日、電話番号などを口頭で確認し、料金の振り込みと印鑑登録証明書などの本人確認書類を送付するよう指示するのみで、契約関係書類などを全く郵送していなかった。

 こうしたずさんな本人確認のため、男の私書箱には多重債務者が貸し主のヤミ金融業者側に指示されて本人確認書類を送付、契約させたと思われるものが複数見つかったという。

■電話転送サービスも…詐欺に悪用を認識?

 私書箱はもともと郵便局が始めたサービスだが、郵便局の場合は、一定以上の郵便物が届けられる見込みがなければ利用許可が下りず、受け取れる郵便物の種類も限定されるなど基準が厳しい。一方の私設私書箱は書留、小包、宅配便などほとんどの郵便物を受け取ることができるなど条件が緩い。

 こうした匿名性や利便性に目を付けた詐欺グループが、詐取したカネの送金先として悪用するケースが後を絶たないのだ。

 振り込め詐欺の捜査に携わる捜査関係者は「組織化された詐欺グループの場合、私書箱を10カ所も20カ所も経由させて詐取金の移転先を分からないようにしている。追跡するのも一苦労だ」とこぼす。

 さらに、私設私書箱業者は私書箱サービスに加えて、どんな場所から電話をかけても東京(03)や大阪(06)、名古屋(052)の市外局番で始まる電話番号で発着信できる転送サービスなども併せて行っていることが多い。

 他人名義で契約した「飛ばし」の携帯電話からうその電話をかける詐欺グループにとっては、被害者側に通知される番号が固定電話の番号になるためメリットが大きい。今回逮捕された男も、こうしたサービスを提供していたという。

 ただ、「グレーゾーン」が目立つ私設私書箱も業務自体は違法ではないため、顧客が詐欺グループかどうかを業者側が把握していなければ、詐欺罪の共犯に問うことはできないのが現状だ。捜査幹部がもどかしさをこう吐露する。

 「今回逮捕された男もある程度、振り込め詐欺などに利用されていることを認識していたと思うが、詐欺罪での立件はできなかった。ジレンマはあるが、今後も厳しく監視し、悪質な業者は法令を駆使して排除していく」【関連記事】 難病患者への善意利用する“人でなし” 詐欺だった街頭募金 “最強素人”ネットカジノで結成「窃盗団」の“腕力” 怯える男子に「卍」入れ墨彫った「中2女子」の“恐怖” 不自然な停止、視線、言葉の矛盾…職務質問が殺人犯を逮捕した! 淫らな写真も…泥酔客から10億円荒稼ぎ “不夜城”巣食うナイジェリア人ら バカの壁、霞が関呪縛を突破
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